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腹立たしい記事 ~その5~

前回からの続き、

この記事の何が嫌かってあれを見て

「よーし、アニメーターになって頑張るぞぉ~」

と思う人はまずいないでしょう。

はっきり言って全くの逆効果です。

その反対側にあるのが「松坂大輔」の話題です。

年収約10億円もらえるなら俺も野球選手になろうと思った人は沢山いるでしょう。

技術や能力は「言い値」なので基準を作りずらいですが

私にとって「防御率2,5のピッチヤー」と「一月に300カット描ける原画マン」は同じぐらいの価値です。

その300カットは使えないものだったらどうするんだという人もいるでしょうが、たいていの制作はいくら300上げてくれる人でも演出作監に頗る評判の悪い人は使わないでしょうし、逆の野球に置き換えても物凄く神懸かった守備陣をバックに付けたピッチヤーと、三振をズバズバ決めるピッチヤーとでは『防御率』という数字からはどちらかはわかりません。

となって来ると比較すべきはそのパーソナリティのもたらす経済効果です。

そうなるとやはりアニメーターは野球選手ほどに収入を得るのは難しいと思われます。

ではどのあたりと同じぐらいが適当かといえばやはり「役者」でしょう。

しかしアニメは実写の役者と違ってそれと同じ位置づけにキャラクターデザイナー、作画監督、原画、動画がいます。この4セクションから成り立ちますからそれらに適正に振り分けすべきだと思われます。

試しに「こんな記事を書いてほしい」と言う例文を書いてみます。

中堅役者のTVドラマ一話分(主役)のギャラが大雑把に調べたところ300万円らしいのでアニメーターに置き換えれば「最上級アニメーター」がTVシリーズを一年やった場合の年収が×52本の1億5600万円、劇場ならその3倍ぐらいが適正ではないでしょうか。

このシュミレーション記事はかなり私の主観、理想、偏見が混じっていますから各メディアの方々はあのような記事を書く時間を適正価格算出に充てて頂きたいです。

適正価格で思い出しましたが、

テレビアニメーション制作に関する要望

というのが以前出ていたと思います。(原文のリンクが見当たらなかったのでその文を取り上げたブログをリンクさせて頂ました。)

・放送局は、1項と2項の目的を達成するために、テレビアニメシリーズ30分の製作費を、一本2300万円以上にすること。

・放送局は、アニメ番組の制作発注を放送開始日の8ヶ月前にすること。

(1) 新人アニメーターの最低(保障)賃金

  (時間額710円×8時間)×22日=月額124,960円

(2) アニメーターのモデル賃金

  原画モデル 1カット3500円×月40カット+月保障7万円=

        月額210,000円

  動画モデル 動画一枚250円×月450枚+月保障5万円=

        月額162,500円

上の二項はおおむね賛成なのですが「新人アニメーターの最低(保障)賃金」と「月保障」は頂けません。

「新人アニメーターの最低(保障)賃金」が気に入らないのは、腹立たしい記事 第一回目でも書かせて頂きましたが、

「新聞が叩く事によって近い将来、一日に三枚ぐらいの動画を描いて月収15万円なんて事になるのだろうか?」

という事です。

アニメーターが時給なんて、いかに新人であっても論外です。

描ける者が富み描かざる者が貧す、この原理が現代社会において希薄なハングリー精神を引き出し切磋琢磨を助長するのです。

そして「月保障」、これを導入すると原画マンなら「月産40カットのみを目指しそれ以上を目指さなくなる」のです。

もちろん全員がそんなことになるはずはありませんが多くのアニメーターがそこに陥ってしまうと思われます。

何故私がこんなことを思うのか実例をあげさせていただくと、

約15年ほど前、私が所属していたスタジオの社長が若手原画マンが数上がらないことを憂いて

「月に70カット以上上げれば本来単価が2500円の所を3000円にする」

という御達しを出しました。

その頃私は20代中半ばで同世代のアニメーターは4,5人いました、が

その呼びかけに答えて実行したのは私一人だったのです。

「70カットは多い、誰もが出来る数字ではない」とおっしゃるかたもいらっしゃると思いますが、その当時私たちがやっていた作品は

「キテレツ大百科」だったのです。

同じ頃サンライズでは「ガンダム0083」をやっていましたが、それを70カットやれなんてとても言えません。が、私たちがやっていたのは「キテレツ大百科」です。

あまつさえ、「キテレツ大百科」を40カット「赤ずきんチャチャ」を30カットやって計70カットにし単価を3000円にしてもらったら、

「一作品で70超えなければ単価3000円にすべきではない」

と言い出す人まで現れました。

ああ、もう、思い出すだけで悲しくなってきます。

現在も程度の差はあれ似た様な事例をよく見聞きします。

だからと言って単価や待遇を据え置くのが良いといいたいのではなく代案はあります。

「新人アニメーターの最低(保障)賃金」の代案としては、

「楽なカットを選別してあげる」です。

実際自分がそうでしたし、人が育っているスタジオはそうしている所が多いはずです。

次に「月保障」の代案ですが。

保障額に充てようとしているお金を

「大変なカットを作業した人に充てる」

のが望ましいと思います。

例えば単キャラの止め口パクは通常単価で良いと思いますが、たまに恐ろしいほどのモブや演技が細かいカットがあるのでそういったカットを、

「本当の動画枚数が100枚であっても大変なら200枚、さらに大変なら300枚『やった事』にしてあげる。原画なら5カットを10カット扱いにする。」

です。これは「元受」の会社以外は多少難しいかもしれませんが慣習化させてしまえばこちらのものです(笑)

あと少し話はずれますが

「(新人)役者や(若手)お笑い芸人にはアルバイトをする時間があるからアニメーターと同列に語れない」

という意見をよく耳にしますが、ごく平均的な密度(絵)の動画を12時間かけて20枚描ける自信のない人は「アニメーター」という「選択」から間違っています。(腹立たしい記事~その2~参照

現在は平均的に動画単価は200円出ていると思いますので日給4000円にもなれば(新人)役者や(若手)お笑い芸人より全然待遇が良いです。

もし、著しく単価が低い(100円以下とか)もしくは線が多い、難しい絵のカットばかり回されるというのであればそのスタジオの方針を疑った方がいいです。今はネット時代ですから自分の置かれている環境が一般的かそうでないかは調べればすぐにわかります。

後は私が「アニメーターマネージメント」を確立するまでは(笑)個々で交渉力を付けてください、

「こんな内容を通常単価でやらせるなんて~」

まずはごねる、お試しあれ(笑)

**************************

今回はかなり早い更新&長文になってしまいました。

たまたま興がのったからなんですが、やはり「多くの人に見られている」感は心地よい緊張感です。

ただ、依然としてコメントは少なめ・・・業者からのトラバ&スパムは激増・・・(涙)

コメントを多く頂けるコツがあったらぜひコメントして(笑)くださいね~

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コメント

月一くらいで見ています。
最低保証がどうかというはなしですが、もしフリーならまだしも新人アニメーターという事は会社に在籍しているはずです。
会社に所属する人間としては、正社員か契約社員かいう違いはあるにしても、毎月一定の給料がないと社員契約にならない訳で、完全出来高では社員契約できないですから、最低保証という物は都合上必要な物ではないかと思われます。
ウチの会社にも最低保証はありますが、先輩社員は「手の遅いけど巧い奴、伸びる奴を守る意味で必要」といっていました。
もちろん弊害は出ていますけど

投稿: toarusheisaku | 2007年3月31日 (土) 03時24分

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